私はよくツイッターを使ってイラストを描いたり見たりしているのですが、フォロワーさんもイラストがとても上手で楽しいです。
私ももっと上手にならないと…という勝手なライバル心も生まれます(笑)
しかし、よくアニメやゲームのキャラクターがハッシュタグつきで流れてくるんです。
たくさんのいいねやリツイートも。
うらやましい!と思うのと同時にふと疑問に思いました。
創作アカウントの皆さんは著作権侵害に敏感です。
自分の描いたイラストやキャラクターが別のところで無断転載されていたり、勝手にアイコンにされていたらあまり良い気分じゃありません。
しかし、そもそものキャラクターの著作権とかは?
いわゆるファンアートですが、これらは著作権違反にならないのでしょうか?
今回はSNSのイラストに関する著作権についてまとめていきます。
Contents
著作権ってどういったもの?
著作権自体はふんわり分かるかと思います。
読む前におさらいとして著作権についてみていきましょう。
著作者が自己の著作物の複製・翻訳・放送・上演などを独占する権利のこと。
知的所有権のひとつ。
上記がgoogleさんで調べたときに出てくる著作権の定義です。
これだけだと曖昧な部分も多いので、もっとくだいてみていきましょう。
著作権というのは著者…つまりそのイラストを作成した人に与えられる権利のことです。
この著作権で守られている限り、音楽や映像、イラストや写真の無断コピペをすることは禁じられています。
著作権の必要性
私たちは毎日スマホでマンガや小説を読んだり、SNS上のイラストを見たり、ドラマや動画を見て楽しんでいます。
これらすべてのものは必ず「誰か」が作り上げたものです。
この作った誰かを「著作者」、私たちが見ているものを「著作物」、著作者に与えられる権利を「著作権」といいます。
この著作権がもし無かったらどうなるのか考えたことはありますか?
著作権がなくなったら、たくさんの人が勝手にその著作物を利用してお金儲けをしたり、ノーベル賞を取ることだってできてしまいます。
著作権の種類
著作権ってひとことで言ってもいろいろ種類があります。
そのなかでもSNSなどの一般的に覚えておきたいものは2つです。
それが「商標権」と「著作者人格権」です。
商標権とは
文字や記号、図形などのマークを商標として登録し、他人の使用を排除する権利のこと。
特許庁に出願し、審査に通れば登録することができる。
たとえば私のサイトの上にある「ちびろぐ」のロゴも、登録してしまえば商標権を獲得することができます。
さらにキャラクターも登録することができます。
ディズニーやポケモンなども商標権を持っていますよね。
つまり、このような商標権を持っているキャラクターやロゴなどを無断で使用することは著作権侵害にあたるのです。
著作者人格権とは
著作者がその著作物に対して有する人格的利益の保護を目的とする権利の総称。
簡単に言えば、著作者が描いたイラストなどを勝手に使用してイラストのイメージを変えてしまったり、イラストに表記されている名前を勝手に消して使用・販売することです。
著作者人格権は下記の権利を持っています。
公表権 | 自分の著作物でまだ公表していないものを、いつどうやって公表するか決めることができる権利 |
---|---|
氏名表示権 | 自分の著作物を公表したとき、著作者名を表示するか、また実名かペンネームか決めることができる権利 |
同一保持権 | 自分の著作物の内容などを自分の意に反して勝手に改変されない権利 |
著作権の侵害は立派な法律違反
著作権とは私たちなら誰しもが持っている権利です。
この権利をなんらかの形で侵害してしまえば立派な法律違反になってしまいます。
しかし著作権は見つかり次第即刻裁かれるわけではありません。
著作違法は親告罪になるので訴えられない限り処罰を受けることはないのです。
何かのきっかけで訴えられる可能性もあるので注意が必要です。
著作権を侵害しているケース

ケース①他人が描いたイラスト・書物を「自作」として投稿する
ツイッターなどのSNS上でも何度も問題になっている、「自作発言」と呼ばれるものです。
創作界隈では有名で、ほかの人が作成したのに関わらず「自分がつくりました」と言って著作物を投稿します。
ばれないと思ってやっている方も多いですが、意外とフォロワーさんが発見して著作者に報告しているケースが多いので絶対にやめましょう。
また、ツイッター上で「パクツイ」と呼ばれている文章を丸々自分の発言のように投稿することも著作権の侵害にあたります。
訴えられれば最悪罰金など処罰の対象になるのでやめましょう。
ケース②著作権・商標権があるキャラクターを使用して販売する
たとえばあなたがポケモンなどのイラストを作成して、それを販売してしまえば著作権の侵害になります。
最近ではココナラなどの低価格でイラストを販売するサイトなどで販売している人が問題になっているようです。
SNS上でイラストを盗用し、自作物として販売している悪質な人もいますが、それらすべて著作権の侵害にあたります。
マンガやアニメなどのキャラクターイラストは商標権侵害の可能性がある
マンガやアニメ、ゲームなどのキャラクターをイラストとしてSNSに投稿することもありますよね。
実はこの行動は著作権・商標権侵害の可能性があります。
本来キャラクターなどの著作物を模写したり私用目的で使う場合にはなんら罪はありません。
しかし、公の場(不特定多数が閲覧できてしまう場所)に載せてしまうと著作権・商標権侵害で訴えられてしまうことがあります。
ツイッターなどのSNSに載せられているキャラクターを描いた二次創作物はほとんどが版権元に許可を得ていません。
本来であれば訴えられるものですが、企業側が宣伝や告知につながると考えて黙秘している場合が多いのも事実です。
今ではSNSはもちろんのことpixivなどでは当たり前のようにキャラクターのイラストやマンガが出回っています。
これも正直なところ違反になるそうですが、今のところは黙秘されていると考えたほうがいいでしょう。
同人誌って本当は「クロ」
二次創作としてコミケなどでも販売されている同人誌。
同人誌のほとんどは版権元に使用許可をとっていない完全に趣味のものが多いですよね。
販売もされてしまっていますが、本来であれば商標権・著作権の侵害になります。
はっきり言ってしまえば「クロ」です。
同人誌の内容が他者に丸パクリされて訴えたというケースもあります。
その場合、盗作されたのは「同人誌を書いた人」になるので著作権はもちろん書いた人になります。
しかし、その同人誌に描かれているキャラクターがアニメやマンガのキャラなのであればキャラクターを無断使用した「同人誌を書いた人」が訴えられるのです。
ではそもそも二次創作物に著作権はちゃんとあるのか?についても解説していきます。
二次創作物に著作権はあるのか
二次創作物自体に著作権はあります。
キャラクターそのものの著作権はありませんが、二次創作の構成やストーリーは二次創作者のものだからです。
しかし二次創作物を著作権侵害されたときに裁判で勝訴できるのか?という部分ではいまだに弁護士によってバラバラだったりします。
本当に限りなく黒に近いグレーだということは頭にいれて置いたほうがよさそうです。
キャラクター自体に商標権がある
実は一般的に商品やキャラクターは著作物とはいえません。
なので無断でキャラクター名を使用されても著作権で保護することは難しいのです。
私がここでポケモン!って騒いでもその名前自体を著作権で保護できるかは難しいというわけです。
そこでそのようなことが起きないためにも商標権でキャラクターや商品を保護します。
ちなみに著作権・商標権に厳しい版権所有会社は
- ディズニー
- サンリオ
- 任天堂
が有名です。
着ぐるみがOKなのは販売元が商用利用許可をもらっている
キャラクター商品や着ぐるみ、最近ではスマホゲームでもコラボで出てくるキャラクターたち。
これらすべて許可されているのは、企業側がすでに商用利用の許諾を得ているからです。
たとえばこれを無許可で勝手に使用してしまうと、企業は著作権侵害によって訴えられ商品も回収あるいは使用禁止になる可能性があります。
ざっくり覚える著作権の注意点
版権元が考えたキャラクターイメージ崩壊させない
キャラクターのイメージを崩壊させてしまうと著作者人格権侵害にあたります。
版権元がつくりあげたキャラクターはどういうキャラなのか?をしっかり理解してキャラクターのイメージに沿ったものを作成しましょう。
使用するための許可を得る
無断で使用すると著作権の侵害にあたります。
せっかく作ったものを勝手に使用されると著作者もモヤモヤしますし、勝手に使用したあなたも指摘されてモヤモヤしてしまいます。
SNSのアイコンでも、何に使用するでも著作者に必ず一言添えるようにしましょう。
使用するための条件をしっかり見る
フリーアイコンだからといって好き勝手使っても良い理由にはなりません。
著作者は基本的にフリーイラストでも利用するための条件を提示しています。
それをしっかり読み、必ずその条件を満たしましょう。
よくあるフリーアイコンの注意点は以下のとおりです。
- 加工するときは文字入れ、色変更、一部を切り取るのみ(加工の許可は得る)
- アイコン内の著作者の名前が消えないように加工する。
- プロフィール欄にフリーアイコン・または著作者の名前を記載する
- SNSアイコンのみの使用OKなのか、ブログなどでも使用OKなのか確認する
よく見かけるのが2番を無視している人です。
名前が邪魔だと思っているのかもしれませんが、著作者に敬意を払う意味でも消すのはやめましょう。
あとは4番です。イラストの使用範囲というのは著作者が決定するものです。
勝手な解釈でSNS以外に使用することはやめましょう。
実際にツイッターのみ使用OKなフリーアイコンも存在しています。
書いていない場合、独断でしようするのではなく著作者に一度聞いてみましょう。
また、著作者とコンタクトが取れない場合は本来著作者が許可している範囲内で使用しましょう。
実際に起きた著作権侵害の裁判
著作権侵害についてあまり裁判になったという話を聞かないという人も多いと思います。
正直著作権をあまく見てしまうのはそういった事例が表に出てこないのも原因のひとつのような気もします。
なので著作権侵害の裁判について有名な問題を集めてみました。
ポケモン同人誌事件
1999年1月にポケモンの成人向け同人誌を発行した女性が任天堂によって著作権法違反で逮捕された事件です。
冊子にして一部900円で販売した結果、この同人誌の情報が一般の方から任天堂に寄せられました。
任天堂はこの同人誌を購入し、中身を確認した上で著作権侵害として告訴されました。
結果、罰金10万円支払うことになり、さらに同人誌を印刷した印刷会社社長も書類送検されてしまいました。
告訴する前に警告をしたら良かったのではないか?という指摘もありますが、任天堂はこの女性が以前から似たような同人誌をシリーズ化して販売していることを確認しています。
さらにペンネームだったため、警告が届く確証や名前を変えて同様の犯行を繰り返されることを懸念したうえで告訴をしたそうです。
著作権侵害、さらに著作者人格権の侵害になってますよね。
ポケモンはそもそも成人向けではないですし…。
こういった同人誌でも告訴されるケースはあります。
絶対に大丈夫とは言い切れないのです。
ドラえもん偽最終話
ドラえもんの偽最終話は今でも有名な同人誌のひとつです。
今でも偽最終話が本物だと思っている人たちもたくさんいます。
ドラえもんが止まってしまい、それをのび太がロボット工学者になり蘇らせるといった内容のマンガです。
イラストもドラえもん作者と絵柄がそっくりで最終回らしい展開から、本物と間違われる始末になってしまったのです。
さらにこの同人誌は表紙も小学館に酷似していて、第三者にWeb上で公開されインターネットで自由に見られるようになってしまいました。
しかも無断で公開されてしまった同人誌は、同人誌であるといった記載がされた表紙などすべて省かれて本編のみの公開であったためさらなる誤解を招いたのです。
あまりに似すぎていたため小学館に問い合わせをしてしまう人があらわれたりと、この同人誌が広まりすぎたために著作者が著作権侵害を通告しました。
このときの小学館ドラえもんルーム室長は「同人誌はそこそこのことであれば見逃していた。しかしネットで拡散されて誤解が拡大していくことに強い危機感を覚えた。
作者が作り上げたドラえもんの世界観が変質してしまうようなことはあってはならない」と表明し、通告に至ったそうです。
同人誌の作成者は今後二度としないという誓約書を提出し、数百万にものぼる売上金の一部を藤子プロへ支払いました。
今でも探せば見れてしまうほどに拡散されているこの偽最終回。
偽者とは知らずに広めている人もいるようなので、著作権の問題は非常に深刻だと思います。
宇宙戦艦ヤマト権利問題
実は宇宙戦艦ヤマトの著作者がハッキリ分かっていないんです。
現時点では西崎義展氏と松本零士氏が著作者ということで合意しているそうですが、どうやらそれも裁判外での話だそうで今後著作者が確定するかどうかは未定です。
宇宙戦艦ヤマトの著作権をめぐり幾度と裁判も繰り返しているそうです。
この権は著作権以外にも著作者人格権が絡んでくる問題なので、そう簡単には決められない問題ですよね。
共同作品になると著作権をどちらが持つのか?は後々重要な問題になりそうですね。
小学校ディズニーキャラ無断利用
これもディズニーの事件で有名なお話です。
1987年に滋賀県の小学校で卒業生106人が集まり、卒業記念としてプールの底にミッキーとミニーを描いたところ著作権侵害として通告されました。
この事件には色々と不運なところがあり、一つ目が日本が著作権を軽視してしまっていたこと。
このディズニーの対応を非情だという人もいますが、「公が見る場で無断でキャラクターを使用していること」、さらに一度許してしまえばそのあと真似をする人たちが続出し、収拾がつかない最悪の事態になったかもしれないということを踏まえればディズニーにとっても仕方が無かったのだと思います。
不運なところ二つ目が、新聞紙で大々的に取り上げられてしまったことです。
この時代にSNSがなく拡散される恐れも非情に少ないこの状況で、新聞がこのディズニーのイラストを写真つきで大きく取り上げてしまったのです。
その結果多くの人の目にとまり、不特定多数に公開することになってしまいました。
もし新聞に取り上げられずディズニーに見つかっただけならば、その後に許可を取ることもできたかもしれません。
ディズニーが注意したあとさらに新聞では「ディズニー、力作を塗りつぶさせる」と題されて取り上げられ、この言葉から当時の日本は著作権に無頓着だったことが分かります。
この事件をディズニー側は「他人の権利を知る教訓になったと思う」といっています。
もしこの注意喚起がなかったら今も日本は著作権に無頓着だったのでしょうか…そう思うととても恐ろしいことです…。
子どもがやったことなんだから、と非難している人も多いこの事件ですが、そもそも子どもがやる以前に「先生である大人」が著作権についてしっかり知っていたなら免れた不運な事件です。
著作権に不安があるときは許可を得よう
もしこれを読んで、「あれ?著作権にもしかすると違反してるかも…?」と気がついたのであればとてもうれしいことです。
不安に感じたなら、許可を得るまたは著作者へ一度連絡をしてみてください。
偏見ですが著作者さんはそういった連絡関係で怒るような人は少ないと感じます。
著作権を侵害し続けるより、連絡を入れてもらったほうがうれしいので連絡することをオススメします。
著作権を知って、楽しいSNSライフにしよう
著作権と一概に言ってもたくさんの権利が存在します。
著作権で何より大切にしなければならないのは、人が作り上げたものをばれないように使うことではなく、作ってくれた著作者に敬意を払って使用させていただくことです。
もしあなたが逆の立場だったら…?
みんなが嫌な気持ちにならないSNSが一番楽しいと私は思います。
私もこれからたくさんのイラストを描いて、著作権侵害されるくらい認知度を広めていくのでよろしくお願いします(笑)
